《本記事の概要》禅の教えの一つに知足(ちそく)というものがあります.つまり,足るを知るということです.欲張りすぎないことが苦悩を減らすことになるということです.利益を追求するビジネスの世界で「欲張りすぎない働き方」は成り立つのか?少し考えてみました.
出典:建功寺
曹洞宗徳雄山建功寺,住職の教え
HOUSE VISION 2についての記事中で少し触れましたが,自分の仕事の仕方がこれでいいのだろうかと悩みまくっている今日この頃,とても目を惹くタイトルの本を見つけました.升野俊明著「禅の作法に学ぶ 美しい働き方とゆたかな人生」.建功寺というのは横浜にあるそうですが,そちらの住職が書かれた本です.
禅寺の修行僧の日常や考え方,そういった考えを仕事へ応用することなど,ページ見開きでひとつの話題で区切られており,とても読みやすです.そんな本書のなかから,ふと心にとまった一節をご紹介します.
「足るを知る」はビジネスで通用する?
遺教経(ゆいきょうぎょう)というお経のなかに知足(ちそく)という教えが説かれているそうです.「欲望や利益をどこまでも追及する人はいつまでも満足せず苦悩が増える.逆に欲のない人は少しのことで満足するから苦悩も少ない.」ということだそうです.
確かに,あれもこれもと追い求めるほどハードルも増えてくるので,貪欲な人ほど苦悩が多いような気がします.そのハードルを苦悩と思うかどうかは人それぞれですけどね.
足るを知ることが大切であると著者は説かれていますが,自分にとってどこまでが足りている状態なのか,それを見極めるのってすごく難しいように思います.特にビジネスの世界で考えてみると,もっと成果を,もっと効率を,もっと,もっと・・・という世界だと思いますので,そのような世界で果たして足るを知ってしまって良いものかと,ふと思いました.
美しい働き方とは?
最近,毎日のように新聞やネット上で「働き方改革」という言葉を見聞きします.政府も力を入れて取り組むべき課題と考えているのですね.政府としては,様々な施策により結果として働き手が増え,経済成長に繋げることが目的なんでしょうが,実際に働き方を変えるのは政府ではなく,労働者個人です.つまり,労働者個人が自分の働き方を今一度考え直すべきだと思います.
働き方改革といっても,会社の数だけ違う働き方があり,さらには同じ会社・同じ部署の人だとしても,人それぞれ働き方って違うだろうと思います.それ故,一概にこうすれば良いという解がない,だからこそ一人一人が自身の働き方を真剣に考えるべきだと思っています.
自分にとって「美しい働き方」とは?自問してみますがすぐに答えは出てきません.でも,なんとなく思うところは,自分の役割・存在価値を明確にして,自分にできることを限られた時間の中で精一杯,人のため・社会のためにこなすことかと思います.そんなの当たり前のコトですけどね.
でも,本当に自分の役割・存在価値を明確に示し,それに応じた仕事をできている人ってほとんどいないんじゃないかって思います.自分はこうすべきと思っていても,いろいろなしがらみの中で出来ないこともあります.それは会社や上司の意向と沿わなかったり,自分の役割を発揮しても評価されない環境だったり,だからと言って脱サラしてすぐに会社を作ってしまうわけにもいかず・・・原因は様々にあると思います.
足るを知る「美しい働き方」とは,自分の役割・存在価値・やるべきこと・できること,そういったことをはっきりと自覚し,能動的に仕事することかなと思います.簡単なことではないかもしれませんが,そんな「美しい働き方」ができる人になれるよう努力したいと思っています.
終わりに
働き方改革・・・難しいテーマですが,生活スタイルや働き方が多様化している時代に,一人一人が考えなくてはならないテーマだと思います.すぐに答えが出せるわけではないですが,いろいろと思考しながら,少しずつでも自分らしい「美しい働き方」を身につけていきたいと思っています.
最後まで読んでいただきありがとうございました.
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